今宵、貴女の指にキスをする。
9
「楠先生、お待たせいたしました」
円香の隣りにいた堂上は、小走りで楠に近寄った。
その様子は、"大物小説家の担当者”然で、自分との扱いの差に円香は少しだけ顔を歪める。
でも、堂上がそういう態度を楠にするのは当たり前なのかもしれない。
なんと言っても楠はA出版を支える大黒柱的存在だと言っても過言ではないからだ。
ベストセラーを何本も世に生み出し、今連載しているシリーズだけでもかなりの冊数を売り上げている。
堂上はA出版の社員として、至極当然なことをしているということだ。
そんな超売れっ子作家とこうしてプライベートで会うことができるなんて……
堂上に感謝である。
円香が楠のファンだと知っていたから、こうした場を設けてくれたのだろう。
特別仕様の取材旅行の締めには、できすぎなほど素晴らしい。
堂上と楠、二人のやりとりを少し離れて見ていると、堂上が手招きしてきた。
こちらに来いと言っているのだろう。
ドキドキする胸の近くでギュッと手を握りしめると、円香はゆっくりと楠に近づいた。
円香の隣りにいた堂上は、小走りで楠に近寄った。
その様子は、"大物小説家の担当者”然で、自分との扱いの差に円香は少しだけ顔を歪める。
でも、堂上がそういう態度を楠にするのは当たり前なのかもしれない。
なんと言っても楠はA出版を支える大黒柱的存在だと言っても過言ではないからだ。
ベストセラーを何本も世に生み出し、今連載しているシリーズだけでもかなりの冊数を売り上げている。
堂上はA出版の社員として、至極当然なことをしているということだ。
そんな超売れっ子作家とこうしてプライベートで会うことができるなんて……
堂上に感謝である。
円香が楠のファンだと知っていたから、こうした場を設けてくれたのだろう。
特別仕様の取材旅行の締めには、できすぎなほど素晴らしい。
堂上と楠、二人のやりとりを少し離れて見ていると、堂上が手招きしてきた。
こちらに来いと言っているのだろう。
ドキドキする胸の近くでギュッと手を握りしめると、円香はゆっくりと楠に近づいた。