運命~一期一会~
突然の誘惑
携帯の画面が2時半を指すころには
ミナミに到着していた。
「どうする?なにするなにする?」
「え?どうする?どこ行く!?」
プチ逃避行中のドキドキと
自由に使えるお金を持って来た
初めての大阪・ミナミという事もあって
テンションはMAXだった。
田舎とは違い、深夜になっても
眠ることがない街に歩くだけで
謎の高揚感が生まれていた。
「あ!そういえば俺1人知り合い居るよ!ミナミに!!」
僕がそう言うとユウキは食い気味で
「え?誰!?呼ぼ呼ぼ!!」
そう言ってきたので
僕もテンションに任せて電話をしてみる事にした。
電話帳からその子の番号を見つけ
電話を掛けた。
(あ、もしもし?のんちゃん?今ミナミ居るんやけど
時間あるなら今から遊ばん?)
電話先の彼女は1年ぐらい前にSNSで知り合って
目的もなく長々と連絡を取り続けていた子で
お互い顔は知っているが会ったことはない。
歳は僕の1つ上の19歳、見るからにギャルだ。
1年も目的もなく連絡を取っていたのは
単純に可愛いからである。
(ごめん、今仕事中~!
そうやん!今からうち呼んでや!!暇してるんでしょ?)
なぞの〈呼んでや〉と言うワードが飛んで来た。
訳がわからず内容を詳しく聞くと
彼女はデリバリーヘルスで働いていて今はそれの勤務中
お仕事が入っておらず待機中だったみたいだ。
そこに都合よく電話がきたので
呼んで欲しいと僕に言ってきたのだ。
(呼んでって言っても今俺だけじゃないんよ。
友達と二人なんよな!)
そう伝えると彼女は得意げに
(え?じゃ~二人で来たらいいやん!!
可愛い子教えてあげるから、友達はその子呼べばいいやん!!)
僕がのんちゃんを呼ぶ事が決まっているかの様な
言い方に疑問を覚えながらも、とりあえずユウキに
電話の内容を伝えた。
するとユウキは
「え?デリヘル?俺行った事ねぇよ」
もちろんだが僕も行った事はない。
内容も先輩達から薄っすら聞いただけで
世でいう《オーラルセックス》が出来る。
このぐらいの知識しかなかった。