蔦が這う。
自らの口から生えている筈の舌先を、這わせる度に、これは「蔦」のようだな、と不思議でならない。
唇から耳朶、首筋から鎖骨、あばら、臍。
伸ばして、絡ませて、這わせて。
するするする、とおぼろげに、しがみつく。
それは何も頼りにしていない筈の、生温かな水気を孕んだ曖昧な「蔦」である。
どこまで這えば充たされるのか。
蔦を薄く包む皮の中に流れる、泥のような孤独が、ぷつり、と穴を開けて、ざらりざらりと流れ落ちるように、虚しい。
これ以上、望ませないで。
「蔦」は、いつか枯れて、咲かせることの無かった花を、夢にみながら揺蕩う。