できすぎる上司♂と不器用すぎる部下♀

「ずいぶん顔色よくなったわね。まだ痩せすぎくらいだけど。」
「うん。これでも少し太ったんだから。今、司さんのところでゆっくりさせてもらってるし、仕事もこんなに休んだの初めて。」
佳子は微笑みながら髪をかきあげた。
「あっ！」
佳子の左手の薬指には指輪が輝いていた。
「うん。決めたの。」
「おめでとう！」
めずらしく照れ臭そうに笑う佳子は幸せそうだった。
「なんか、頑張るの疲れちゃって。彼について北海道に行って、のんびりしてからパートでもしようかなって。」
「そっか。」
決断するまでの苦悩を知っているからこそ桃はそれ以上なにも聞かない。