できすぎる上司♂と不器用すぎる部下♀
その言葉が過去の心の痛みをよみがえらせる。

「あれは桃のせいじゃないんだから。もう縛られるのはやめなよ?あの人はそういう人だったんだから。」
佳子がはっきりと言わないのも名前を出さないのも私を想ってのこと。

「ちゃんと前に進まなきゃ。」
「うん」



今でもスーツ姿で背の高い人を見ると思い出すことがある。少し茶色の柔らかい髪も。

課長に少しにているかもしれない。

はじめから気づいていたのに気づかないふりしていたのは私の心が思い出したくない痛みを、拒否していたからだ。
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