年下幼なじみにずっと愛されてました




「莉子ー?」


「お母さん!今から遥の家行ってくるね!」



声高々に宣言する私を見て固まったお母さん

「え?遥って…、遥くん?」

「うんっ!遥が来ないかって言ってくれた!」



キッチンに来た私を抱きしめるお母さん
そのまま頭も撫でられて、なんか泣けてきた。


この状況は何なのか、…隣の家に行くだけなのに私も何でこんな宣言してるのか…。



分かんないのに、分かる。

私を抱きしめているお母さんの気持ちもなんとなく分かる。


…良かったねって思ってくれてるはず。
疎遠になってた幼なじみとまた仲良くできるんだねって。



しばらくして離れたお母さんは泣いてた。
何で泣いてんのって言いたかったけど、私もつられて涙が込み上げてきてしまった。



「ゆっくりしてきなさい。明日は休みでしょう?ふみちゃんたちによろしくね。」


リュックを背負ったままの背中を優しく押され玄関へ向かう。


「じゃあ、行ってきます。」

「楽しんで。」






「あなた達が離れる必要なんてないのよ。」



ドアが閉まりきる寸前にその言葉が聞こえて、胸がぎゅっとなった。



< 110 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop