年下幼なじみにずっと愛されてました
「え?」
一瞬右から左に通り過ぎて、声が漏れる。
足が止まって、自然と向かい合う。
繋がれた手はいつの間にか絡み合って、恋人繋ぎになっていた。
「ずっと前から好きだった。だんだん大人になる莉子に置いてかれないように必死だった。……莉子がいない生活は、生きてないのと同じ。俺の世界の真ん中は莉子だよ。」
「大好き、莉子。俺に莉子を守らせて。」
どくん、どくん。と自分の心臓の音が耳元で聞こえる。
好き…?遥が、私を…?
戸惑っているのに、その言葉はスッと体に馴染み、頭の中には昔の映像が浮かんだ。
クラブに入ってた私たち
バスケのセンスが異常だった遥はぐんぐん上達していき、それを間近で見ていた私は悔しいはずなのに心を奪われていた。
だから次第にマイナスな感情などなくなり純粋な気持ちで遥のプレーを目に焼きつけていた。
ドリブルで駆け抜け、1人2人と抜いていく真剣な表情
ふわっと浮かびシュートをする姿は羽が生えたようでかっこいい天使だと思ってた。
きっと私も昔から好きだったんだ。
私も遥が転校したと聞いた時は、私の大事なものが欠けてしまったような。そんな喪失感でいっぱいだった。
でも、今感じるのは胸いっぱいの気持ち
遥に言われて気づくのは、ちょっと不公平かも。
だから…、私も一緒だと言わないと。もう隠さないと約束したから。
「…私も、ずっと大好き。遥が側にいないと寂しかった。」
遥がバスケ部に来た時、びっくりしたけどまた一緒にバスケできるって嬉しかった。
「私の初恋は、バスケしてる遥なんだと思う。それは今でも変わらない。」
「…バスケしてない俺は?」
少し不服そうな顔をする遥
その顔が可愛くて、つい空いてる手で頬をつつく。
「ごめん。言い方が悪かった。バスケしてる遥のカッコ良さに惚れ直したの。」
うん。きっとそう。
遥が産まれた時から側にいる写真がたくさんあるけど、覚えてる1番古い記憶は遥と手を繋いで遊んでる記憶
思い出して笑いながら頬をつつく私の手を握って、軽く引っ張られる。
繋がれてた手が離れて背中に回るのを感じながら、目の前の遥を見つめる。
「俺が卒業したら結婚して。」