復縁する可能性ゼロ%


私たちが到着してまもなく
須藤専務もやってきた。


「待たせたね」
「いえ 今着いたところですから」
「それならよかった」


そんな会話を交わしながら
案内された奥の個室へ。


中のセッティングを見て
私は不思議に思った。


それは3人分ではなく
4人分だったから。


颯斗もすぐに気がついて
「他に誰か来るんですか?」
と専務に尋ねた。


「ああ 娘がね
どうしてもワシの言うことが
信じられないから1度会わせろ!
会ったら納得して諦めるからと
言うからね」


娘のゆりえさんは颯斗と会った時
颯斗から「彼女はいない」と
聞かされてたらしく
ここになって結婚を考えるほどの相手が
いると言うことに納得ができないと
専務に言ったらしい。


専務が自分と颯斗との恋愛に
反対したいための嘘
颯斗には結婚する相手がいるという
作り話だと言って
言うことを聞かないと言うのだ。


「こうして会わせると納得するだろうと
思ってね 2人ともごめんな」


「そうだったんですね 了解しました
こちらこそすみません
勤め始めたばかりで
しかも相手が職場に居るとなったら
何かと言われそうだったから
当面の間はいない設定にしようと
思ってたので」
と彼女がいないと言ってしまったことを
謝っていたが私は偽物なのにと
少し胸が痛かった。


しばらくすると
娘のゆりえさんがやってきた。


颯斗が断る理由がわからない程
ゆりえさんは可愛い子で
男ウケするタイプの子。


「遅くなってごめんなさい」


「時間にルーズなのは1番ダメだと
ずっと言ってるだろ!」


「仕事のキリが悪くて」


「それならそれと連絡してこないと!」


といきなり専務は説教から始まり
私たちはただ見てるだけ。


「もぉー!わかったから!
反省してますっ!
いきなりの説教で
颯斗さんたちがどうしたらいいのか
困ってるでしょ
話題変えなきゃ」


ゆりえさんの一言で
専務もグズグズ言うのをやめたのだ。




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