復縁する可能性ゼロ%



「あの。。。これほんの気持ちです
皆さんで食べてください」と
また謝罪を述べながら
手土産を差し出した。


「まぁ座りなさい!
あれだけの規模の豪邸を
いきなり考えられないほどの
安さで言ってくるし
納品の日にちもすぐだと言うし
何を考えてるんだ?って
初めは怒りしかなかったよ」


「すみません」


すみませんしか言えない
どんな経緯でここに電話したのかが
把握してないから。


「ああ いいんだよ それはね!
手違いって良くあることだから」


「はい。。。」


「それよりいい仕事をくれて
ありがとうってこっちから
お礼を言いに坂倉さんを
訪ねないといけないと思ったよ」


「はい?」


いい仕事をくれてって?
何?何?
私の知らないところでまた何か起きてる?


発言するのが怖い。


「藤中小学校の耐久工事の依頼があってね」


うん?山本木材店に頼んだ?


確かそれは松本木材店に
依頼するはずだったはず
また誰かが?


「そうですか」


「しかも昨日の夜に
後藤課長から呼び出されてね」


うん?颯斗が?


部下の手違いで迷惑かけてすみません
山本木材店さんには
藤中小学校の依頼を
入れるはずだったのですが
と言われたという。


「孫の通ってる学校だから
耐久工事を受け合ったと言うと
『じいちゃんの会社の木材使って
じいちゃんの会社が工事してるんだよ』
って祖父として自慢にもなるし」と話す。


「そうなんですね」


「後藤課長は若いのにしっかりしてて
さすが後藤建設の後を継ぐ人材だと
つくづく思うよ」


「そうですか」


「向こうが出してきた金額では
こっちの儲けが少ないから
上乗せした金額を言っても
『仕方ないですねそれで結構です』
って言ってさっぱりした男だよ」


こことばかりに
値上げしたな。。。


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