復縁する可能性ゼロ%
「おーい!おーい!
手を止めて集合!」
主任から声がかかったのは
ミニ休憩前の2時45分のこと。
主任の方を向いた私は
そのまま催眠術がかかったかの様に
動きが止まってしまったのだ。
主任の後ろにいる男
それは・・・
昔の彼・・・そう元カレだったから。
「こら!坂倉
何してる!早く来い」
主任の呼ぶ声で催眠術が溶ける。
「あ すみません」
慌ててみんなのところに移動していると
バッチリ目が合った。
冷たい目線・・・
もちろん逸らしたのは私。
10年前に初めてを捧げ
一番大好きだった人
その後意味もわからず振られた。
そして6年前の同窓会で再会して
一番大嫌いに変わった後藤颯斗。
またまた6年ぶりの再会だ。
何故颯斗がここに居る?
ここに居るということは?
まさかのまさか?
颯斗が課長???
「明日から一緒に働く後藤課長」
主任の言葉で一歩前へ出た颯斗。
「後藤颯斗です
前任の課長がとても良い人だったので
比べられるかもしれないけど
頑張りますのでよろしくお願いします」
とびっきりの笑顔で自己紹介した颯斗は
確かに那月の言う通りイケメン。
颯斗が課長?
若くて課長なんて
すごい出世じゃない?
昔から頭は偉かったけど。。。
「簡単に手短に自己紹介を」と
主任から紹介が始まった。
迫ってくる私の順番
ついにきた私の順番。
「あ・あの 私はさ・・・」
「坂倉日菜子」
紹介する前に颯斗に言われてしまい
周りは「え?」と私を見る。
「だろ?あれ?違ってた?」
「いえ・・・さ・坂倉
ひ・・ひ・日菜子です」
動揺を隠せない私に颯斗は
ふふっと笑った。