過ぎ去りし王国
「……それにしても、今日は熱いな」

ルアンは話題を変えるつもりでそう言った。空は青く晴れ渡っているが、日差しが強い。

「水筒の水はもうないしな…」

キランが小さすぎる水筒を振る。現場へ出発前に上司から渡される水は、いつも量が決まっている。安全な飲み水すらこの王国にはないのか……。

ルアンの心の呟きはキランにも聞こえたのだろう。二人は同時に吹き出す。

汗が流れ落ち、気温は時間が経つにつれてどんどん上がっていく。喉の渇きは限界を訴え始めた。

それでも、水がないためどうすることもできない。雨が降れば別だが、雨が降る気配はどこにもない。

隣に立つキランの体が、前後にふらつき始めた。

「大丈夫か?」

「ちょっとめまいが…」

その刹那、キランは地面に倒れてしまう。ルアンは慌てて駆け寄り、「おい!キラン!キラン!」とキランの肩を叩いた。

上司に連絡を取ろうとするが、上司や他の仲間がいるのは遥か遠く。救助が来るかどうかはわからない。
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