...music...
01 ライブ
春の風が夏の風に変わる頃の話。
俺はギターを片手に家を飛び出した。
「ちょっと奏!!どこ行くの!?」
声さえも聞こえない風の中。俺はひたすら走った。
そう...あの公園へ...!!
俺はシンガーソングライターを目指す高校二年、小丹波 奏。
〔かな〕という名前は女っぽくて嫌いだ。でも漢字は気に入っている。
いつも、この時間帯に学校を抜け出して一人ライブを開いている。
客は誰もいない。
思い切り唄える時間帯がここしかないからだ。
少し木陰の或る所をライブステージにする。
誰もいない真昼の公園はシンとしていて、ギターケースからギターを取り出す音だけが寂しく響く。
ジャーン...
チューニングを終えたギターでも、弦を押さえていないギターの音は少しおかしい。
ピックを握り締めて、軽く咳払いをする。
ジャーン ジャーン ジャーン
俺はギターに合わせて唄う。客なんかいない。それでも唄う。
~♪
唄い終わると、少しため息をつく。
今日のライブはここまでだ。
俺はギターケースにギターをしまって、また家へと走った。
家には誰もいない。母は出かけたみたいだ。
すぐにギターをおいて、自転車にまたがる。
高校に急ぐ。
「遅いぞ奏ー!!」
そういいながらパンに噛り付くのは親友の小太郎。
「悪ィ悪ィ。」
「今日も客なんかいねぇんだろ!?」
「うるせぇ!!!」
そういってふざける俺。毎日が楽しい。青春って感じがする。
「奏!あんた、どこ行ってたのよ!先生が呼んでたんだから!」
「げ、出た委員長」
クラス委員長兼俺の幼馴染、桜。俺はそう思わないが、ツンデレキャラらしい。
「げって何よ。サボってたこと、先生に言うわよ!?」
「ゴメンごめん。」
「今度からはしないでね!!」
そういって立ち去る。いつものことだ。
「…桜って最近またかわいくなったよな。」
小太郎は遠い目をして桜を見る。
「そうか?全然変わってない気がするけど。」
「お前、鈍感だなぁ。」
そう言って笑った小太郎は、心の底から笑ってはいないようだった。
俺はギターを片手に家を飛び出した。
「ちょっと奏!!どこ行くの!?」
声さえも聞こえない風の中。俺はひたすら走った。
そう...あの公園へ...!!
俺はシンガーソングライターを目指す高校二年、小丹波 奏。
〔かな〕という名前は女っぽくて嫌いだ。でも漢字は気に入っている。
いつも、この時間帯に学校を抜け出して一人ライブを開いている。
客は誰もいない。
思い切り唄える時間帯がここしかないからだ。
少し木陰の或る所をライブステージにする。
誰もいない真昼の公園はシンとしていて、ギターケースからギターを取り出す音だけが寂しく響く。
ジャーン...
チューニングを終えたギターでも、弦を押さえていないギターの音は少しおかしい。
ピックを握り締めて、軽く咳払いをする。
ジャーン ジャーン ジャーン
俺はギターに合わせて唄う。客なんかいない。それでも唄う。
~♪
唄い終わると、少しため息をつく。
今日のライブはここまでだ。
俺はギターケースにギターをしまって、また家へと走った。
家には誰もいない。母は出かけたみたいだ。
すぐにギターをおいて、自転車にまたがる。
高校に急ぐ。
「遅いぞ奏ー!!」
そういいながらパンに噛り付くのは親友の小太郎。
「悪ィ悪ィ。」
「今日も客なんかいねぇんだろ!?」
「うるせぇ!!!」
そういってふざける俺。毎日が楽しい。青春って感じがする。
「奏!あんた、どこ行ってたのよ!先生が呼んでたんだから!」
「げ、出た委員長」
クラス委員長兼俺の幼馴染、桜。俺はそう思わないが、ツンデレキャラらしい。
「げって何よ。サボってたこと、先生に言うわよ!?」
「ゴメンごめん。」
「今度からはしないでね!!」
そういって立ち去る。いつものことだ。
「…桜って最近またかわいくなったよな。」
小太郎は遠い目をして桜を見る。
「そうか?全然変わってない気がするけど。」
「お前、鈍感だなぁ。」
そう言って笑った小太郎は、心の底から笑ってはいないようだった。