拝啓 元カレ上司サマ

予め釣書では確認していたものの、やはり相当な御曹司なのだと、麗香はまじまじとその男性を見つめた。

小学校から大学までエレベーター式のお金持ちの子息が通う、超有名校の出身で、アメリカ留学までしているのだ。

彼の名前は田上宗也といい、30歳O型。

性格は温厚だが、時に熱い。

これまで、幾人かの女性と交際経験があるものの、皆が皆一様に御曹司の坊っちゃん狙いだったようで、宗也は些か女性不信気味になっていた。

麗香のことは一目惚れであるが、出合ってから一年少しの間、多忙のために彼女に接触すら出来ずに、独り思い悩んでいたらしい。

しかし、30歳になった宗也はダメ元で、麗香の勤める営業所の営業部長に泣き付いたのである。

ちょっと情けない気もするが…。




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