拝啓 元カレ上司サマ
麗香を初めて見た時に、宗也は何とも言えない胸の震えを感じた。
それまで付き合ってきた女性達は金持ちの令嬢がほとんどで、やたらと鼻っ柱が強く金遣いも荒かったために、付き合っているうちに幻滅するというケースも多々あった。
だからと言うべきか、一般家庭である周防家の娘を嫁にするのは“ちょうど良かった”のだ。
もちろん出会った当初は何処の誰かなど知らずにいたが、実は宗也はここ数ヵ月で、ちょちょっと周防家を調べていた。