拝啓 元カレ上司サマ

煌太と本当の別れを自覚して、涙に暮れる日もあったけれど、もしかしたら、宗也に出会うための試練だったのかと、麗香は最近感じている。

考えてみると麗香の母親も、最初の夫で麗香の実の父親との壮絶な別れがあったから、当時の上司で、ずっと相談に乗ってくれていた現在の夫との良縁を結ぶことが出来たとも言える。

だから、悲しくて苦しくてどうしようもない日々が過去にあったとしても、人生やり直しがきくことが、これまでの経験で麗香は知っているのだ。

今度こそ、と、多少力が入っているのは否めないが、以前よりも明るい笑顔を振り撒く麗香は、新しい恋人の宗也にとっては、眩し過ぎる女性なのだ。

まあ、麗香本人は何時もより元気が出たくらいの感覚なのだが…。









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