拝啓 元カレ上司サマ

岡谷、葛西両家が集まるのは結婚式以来のことで、お互い気まずそうにしながらも挨拶を済ませて、葛西家の客間である和室に座る。

優希とその母親は、慌ただしくお茶の準備をしていた。

「優希…結局、心は決まったの?」

お茶菓子の準備をしてから、母親が優希に言った。

「…煌太の顔を見ちゃうと、どうしようか迷っちゃうの」

娘の物憂げな表情を見つめる母親が、心配そうに伝える。

「皆で話し合いましょう!きっと何か解決策が出てくるわ」

そう勇気づけられても、優希の心は晴れないでいた。


















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