拝啓 元カレ上司サマ
いつもは何処に行くにも優希と一緒だった。
偶には各々行動するのも悪くないと、4時を過ぎた頃、意気揚々とマンションを出る。
独身の頃から乗っている黒のクーペに乗り込んで、一人きりのドライブを楽しむ予定だ。
折角だからと、大学時代からあの忌々しい事故に遭遇した辺りまでを過ごした場所へ向かうことにした。
シートが二つしかないこのクーペは、子供でも出来れば買い換えないといけないななどと考えている自分自身に驚く。
そう言えば、優希と最後に触れ合ったのはいつのことだっただろうか。
ずっと色々なことを堪えてきてくれたんだな…と考えてみる。