拝啓 元カレ上司サマ
「本当に出来た奥さんだ」
こう呟いて、煌太は徐々にスピード上げながら、車を走らせること数十分。
やっと目的地に到着だ。
ここは大学生のヤンチャな頃の思い出と、社会人になって暫くしてから出会った麗香との忘れられない愛しくて懐かしくて、でも苦い思いが入り交じっている場所。
感傷的になりそうなった煌太は、頭を振ってみる。
「ダメだな…本当はまだ忘れてないんだ」
煌太は沈みそうな心を浮き立たせるように、今夜は何を食べようかと、昔の行き付けの定食屋を目指した。