拝啓 元カレ上司サマ
言い訳
本心を言えば、ショックだった。
記憶のない数年間の煌太は確実に優希のものだったのだから、例え彼が思い出したところで、自分の立場が揺らぐ訳がない。
それに、あんなに愛し合っていた二人には、心が離れていくなんて想像すら出来ないことだったはずだ。
そんなことをいくら考えたって、話し合うことも難しいこの状況にしてしまったのも、大好きだった眩しい笑顔を煌太から奪ったのも自分だ。
己の仕出かした、いや今現在も続けている“彼氏”との会瀬は、優希にとってほんの少しの寛げる時間なのだ。