拝啓 元カレ上司サマ
前へ進め
涙を拭き拭き煌太の言葉を聞き逃さないように注意深く聞いている優希を、煌太が優しく抱き締める。
ゴメンとでも言うように、彼女の頭を撫でながら…。
離婚へ向けての話し合いは、比較的スムーズに進められた。
慰謝料も何もなし。
幸いと言うのか何なのか、子供もおらず持ち家もない。
あるのは、結婚前から煌太が持っていた車だけで。
ないものだらけの二人は、思わず笑ってしまった。
こんな状況でも笑うことが出来るんだと、二人揃って再度笑い合う。