拝啓 元カレ上司サマ

煌太は、すっきりさっぱり過去を精算したいと思っていた。

麗香を追って転職したことや、優希を愛して結婚までしたこと。

何も悔いてなどいない。

ただ唯一、今現在後悔が残っているとしたら、何年も前に、麗香を悲しませたことだけ。

あの過ちがなければと、今さらながら自分の馬鹿さ加減に呆れてしまう。

だけれども、自分自身のことよりも別れた元妻のことよりも、麗香が今幸せであって欲しいと考えていることに笑ってしまったのだった。


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