拝啓 元カレ上司サマ
宗也も、彼自信の命の灯火が消えかけているのをある程度は承知しているけれど、出来ることならば、これからもずっと麗香や子供達と生きていけたらと、思わないこともない。
ただ、実際問題、その自分に残された時間がどれだけあるのか、医者の診立てを知っておくべきだし、だから余計に、家族の絆を最期の最期まで深めていきたいと願っている。
「本当なら子供達の成長を見ていたかった。麗香と爺さん婆さんになるまで、仲良く暮らしたかった…。でもな、多分、俺にはもう時間がないだろう?」
時々声を詰まらせながら話す宗也に、堪えきれなくなった麗香は、顔を両手で覆って嗚咽を漏らした。