拝啓 元カレ上司サマ

故人の妻子が棺にすがり付く様に、参列者からはすすり泣きが聞こえる。

会社のことも心残りであろうが、ましてや残して逝かなければならない家族のことはなおさら。

同じ男として、志半ばで倒れた田上副社長の心情を察すると、さぞや無念であっただろうと、煌太は顔を歪める。

煌太がかつて愛した女性の憔悴しきった姿は、彼の心をも痛め付けたのだった。










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