拝啓 元カレ上司サマ
麗香は薫子が寝惚けていたのだろうと、よかったわねと言って、ニコッと長女に笑い掛ける。
その時、幸二郎が麗香の方を見て言った。
「あのね、おじちゃんが遊んでくれたんだ。お兄ちゃんと3人で変身ごっこしたよ」
そうなのね、と次男に話す。
そこで、麗香ははたと気付いた。
マンションオーナーの叔父のことを、今までおじちゃんなどとは呼んだことはないはずだ。
この叔父は史也という名前で、子供達はふみやおじいちゃんと呼ぶ。
麗香は気にはなったけれども、パスタの茹で加減が気になって、そのことはもういいかとタイマーとにらめっこを決め込んだ。