拝啓 元カレ上司サマ
煌太が突然やって来ても、オーナー夫婦はでーんと構えて家へと招き入れてくれる。
それは、煌太が麗香の大切な男性(ヒト)だった過去があり、例え、可愛い姪っ子を傷付けた相手だったとしても。
彼らは知っていたのだ。
かつて、麗香が最も愛していたのは、煌太であったことを。
そして、誰のせいでもない記憶喪失のせいで、この男女の運命は、それぞれ別の人と繋がってしまったことを。
今では、煌太の次の運命のヒトも天国へ旅立ってしまったから、もし、姪っ子が望むのならば、新に運命の糸を手繰り寄せて繋げてやりたいと思っているのだった。
次こそは、永遠に続く幸せを手にして欲しいと、願っているのだ。