拝啓 元カレ上司サマ

まさか幸二郎を奪われるとは考えていなかった麗香は、二人が付き合っていた時よりもキツイ口調で煌太に言った。

「ちょっとお、何すんのよ」

煌太はそれが何だか嬉しいようで、三人もいたら大変だろと、どうってこともないように幸二郎をシートに乗せて、次に悠一郎を乗せる。

麗香は薫子を乗せて、煌太の手際の良さに驚きながらも、彼の姉には確か三人男の子がいたから、きっと一緒に車で出掛ける機会もあったのだろうと、思い巡らしていた。

あのまま二人が結婚でもしていたら、今頃、悠一郎達のような可愛い子供達がいたかも知れないなと考えると、何だか不思議な感じがする。

それでも麗香は、いかんいかんと頭を振った。

そして、煌太との過去を思い出して、そんなこと取り敢えずないわと思ったのだった。







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