拝啓 元カレ上司サマ
応募から僅か2週間。
今日は引っ越しの日だ。
その間、部長や煌太達管理職からブツブツ言われたが、もう決まったことだ。
それから、歓送会をと申し出があったが、家族が病気で急ぎ帰らなくてはいけないと、尤もらしく言い訳して、麗香は全てのお誘いを断った。
少しだけ後ろ髪引かれる思いはあったけれど、もうこれ以上、平常心を保っていられる気がしなかったのだ。
「本当に大丈夫?あっちには、私は居ないのよ!」
涙ぐんだ沙穂が、麗香を抱き締めて言う。
これからどうなるかなんて、誰にも分からない。
けれども、親友の幸せを願って、沙穂は思いきり背中を押したのだった。