今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -



事の始まりは、さかのぼることおよそ1時間前。



「私、学校で寮生活をしてるんですけど、食堂の調理長さんが明日で寿退社されることになって……」

「そんで花束を渡すことになった、と」

「最初は寮の近くのお花屋さんに頼もうとしてたんです……。でも、この暗黒街のお花屋さんは生産者の人が直接卸してるから、新鮮でとっても綺麗だって噂を聞いたので」



その噂を教えてくれたのは、同じ寮の美月ちゃんという女の子。

本当は美月ちゃんとふたりで来る予定だったけど……。



「一緒に来るはずだった子が熱を出しちゃって……。だからひとりで来る羽目に」

「違うやつ誘えばよかっただろ」


「それも考えたんですけど、危ない場所だからあんまり周りを巻きこまないほうがいいかなって……」

「…………」


「それに、昼間なら外から色んな人が遊びにくるから安全だって話だったし、まあ私ひとりでも大丈夫かなあ~、と」

「もう夜だけど?」


「それは、熱が出た友達の看病をしてたら、すっかり遅くなっちゃって、ですね……」


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