今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「ねえ、美月ちゃんって誰かを本気で好きになったことある? よね……経験豊富だし」
街の入り口にたどり着くころには、前を歩いていたはずの国吉くんがいつの間にか隣に並んでいて。
上の空だった私はそれに気づかず、てっきり美月ちゃんだと思い、話しかけてしまった。
「誰が“美月ちゃん”だって?」
「えっ? あれっ?……国吉くんいつの間に」
「さっきから横にいたけど。古屋はもう店が近いから、張り切って先陣切ってる」
顔を上げれば、浮き立った様子で先頭を歩く美月ちゃんが見えた。
「ほんとだ。ごめん、今の質問は忘れてください……」
「俺はあるよ? 誰かを本気で好きになったこと」
「え……」
まさか答えてくれるとは思わず、ぽかんとして相手を見上げると。
「じゃなきゃこんなトコ、誰が好き好んで来るかっつー話」
首の後ろで腕を組み、そんなことを言うから、恋に疎い私でもピンときた。
「……てことは、このメンバーの中に好きな人がいるんだね?」
国吉くんと恋愛について話すのは初めてで、なんだか新鮮な感覚。
気になってそわそわしてしまう。