今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -

「ありがとうございます、ちょっと出てきます」

「うん。あ、そうだ。裏口使っていいよ。そっちのが近いから」



カウンターの奥の扉に案内してくれたマスターにもう一度お礼を言って、クラブを出た。


とにかく、頭の中は響平のことだらけで。
そんな状態で飛び出したものだから、自分がこの土地に疎いことを忘れてしまっていた。


道がわからない。
響平が近くにいるとは言っても、どの方向に進んだらいいのか、響平が行きそうな場所はどこなのか、まるで検討もつかず。

無鉄砲に外に出てしまったことを後悔する。



そうだ、電話かけてみよう。

だけど、またしても繋がらず。
ポケットからネックレスを取り出して、じっと見つめた。


大丈夫。
きっと会える。
心の中でそう唱えたとき。


「お姉さん、こんなところで立ち止まってどうしたの?」


成長期に差しかかったときのような、高めのハスキーボイスが手前から聞こえてきて、反射的に顔を上げた。
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