今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
中学生……くらいに見える、男の子。
この前の、怖そうな男たちじゃなかったことにホッと胸を撫で下ろす。
「もしかして道に迷った? 僕が案内したげよっか」
この街で知らない人に頼るのは気が引けるけれど、ここでずっと立ち尽くしているわけにもいかない。
「ほんと? ちょっと、人を探してて……」
悪意のようなものは感じなかったから、気を許してそう声をかけた。
──直後。
「うわっ」
と大きな声を上げて、その子は後ずさった。
「そ、それ……」
人差し指が向けられた先には、私の手中にあるネックレス。
「夕立さんのじゃないですか……っ」
怯えたようにそう言うと、今度は私に向かって頭を下げた。
「すみません! 僕なんかが気安く声を掛けて……。うわあ、どうしよう。夕立さんにも謝らないと……」
大げさなくらいにおどおどし始めるから、なんだか急に可哀想に思えてきた。
どうやらこの子にとって、響平はものすごく上にいる存在みたいだけど、私に敬語を使ったり、謝ったりする必要はまるでないのに。
「あの、全然大丈夫だから。とりあえず顔を上げて──」