今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
ここまで話したのに、相手は「へえ」と短い相槌で会話を終わらせると、私に背中を向けて歩き出した。
なんて淡泊な……。
まあでも、この街の人ってこんなものだよね……
と、納得する。
どうしてここへ来たのかと自分から尋ねておいて、さっさと去っていくドライさには、一周回って感心すら覚えた。
これからどうしよう。
夜の暗黒街でお花屋さんを探すのは危険だってわかったものの、今から近所のお花屋さんに向かっても、はたしてまだ開いているかどうか。
考えこんでいると、突然。
「おっせーよ、早く来い」
反射的に顔を上げると、たった今去っていったはずの彼が目の前に立っていて、「え?」とまぬけな声がでてしまった。
「花屋行くんだろ」
「へ? あ、はい」
「俺もちょうどそこに顔出す予定だったんだよ」
そう言いながら手を握ってきた彼を思わず見上げる。
その動作はあまりにも自然だった。
そうすることが当たり前、というみたいに、黙って私の手を引いていく。