今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -


屈みこんでそう声をかけたのと
私の足元に、ふっと影がかかったのは、ほぼ同時。



「──なんだ、瑠花じゃん」

少し笑った低めの声に、心臓が跳ねた。


振り向いた先にいた人物と目が合って、胸の奥が熱くなった。


今日も黒いスーツを身につけていた。

泉くんの言っていたとおり、少し疲れて見えるのは、2日間、どこかに閉じこめられていたから……?

でもそれが響平の色気を増している。



勇気を出して会いにきた私の努力を、“なんだ”と、どうでもよさげな一言で片付ける男。

寂しいような気もするけど、私はこの人の、こういうところが好きだった。


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