今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -


触れた部分から伝わるのは、少し低めの体温。


数十メートル進んだところで心臓がしだいに早鐘を打ち始めた。


男の人と手を繋ぐのなんて、幼稚園の遠足以来かもしれない。

嘘、ほんとに私
今、男の人と手を繋いで歩いてるの……っ?



私、状況把握するの遅いな……。

焦る頭でとりあえずセルフ突っこみを入れてみる。



一方彼は、


「あっ、夕立さん! お疲れ様です……!」



道行くたびに声を掛けられて、頭を下げられて。

いったい、この街でどんな立ち場なんだろう。
そう考えると、頭が余計に混乱した。



チラチラ私にも視線は注がれるけど、特に誰も何も言ってこなかった。


ホテルに連れこまれそうになったときとは、また別の意味で胸が高鳴ってる。


男の人と手を繋いでいるからか、
慣れない街の雰囲気にあてられたせいか……。
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