今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
えっ?と、しばらく呆然として見上げていると、痺れを切らしたように私のそばへ戻ってきて、腕をぐいっと引き上げた。
「外行くぞ」
「え?」
「手ぇ繋いで外歩いたらデートっぽいだろ」
てっきり私の態度に呆れたと思っていたのに、本人は特に何も思っていなかったらしく。冷たく聞こえたのは、私の気持ちが沈んでいたせいかもしれない。
「どこに……行くの?」
「んー。秘密の場所ってやつ?」
いたずらっぽい笑顔が、さっきまでのもやもやを嘘みたいに晴らしていく。
自分が、好きな人の言葉一つでこんなに簡単に嬉しくなれることに驚いた。
響平にとって私は、周りにたくさんいる女のひとりくらいだと思っていたけれど、案外、大切に想ってくれているんじゃないかと。
『可愛がってやる』というセリフも、嘘じゃないんじゃないかと、淡い期待が膨らんでいく。