今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「あ、響平君。ちょうどよかった」
クラブまで送ってもらっているとき、あと少しのところで、また知らない人が声をかけてきた。
「これから時間あるっすか?」
「あー。こいつをビアンカに送ってくから、その後な」
「それなら、なおさらちょうどいいっす。ビアンカに、めっちゃ可愛い子が来てたんすよ。このあたりじゃ見ない顔で。名前聞いたら、“古屋美月”って。たしかこれ、響平くんの元カノの名前じゃ──」
「……へえ、美月がきてたのか」
――ドクリ。
心臓がいやな音を立てる。
……今、何て?
古屋美月、私の友達の名前――。
空気を吸うって、どうやるんだっけ。なんて、馬鹿なことを考えた。
“美月”。
響平は確かにそう呼んだ。
「響平くん、美月さん呼んできましょうか?」
「いや、いい」
「でも、」
「いいって言ってんだろ」
低い声に相手がびくり、と肩を震わせた。