今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「どうでもいい。美月とはとっくに終わってんだよ」
ふたりのやり取りを聞いていられなかった。
背を向けて地面を蹴った。
「おい、瑠花……っ」
名前を呼ばないで。
なにもなかったように、笑顔で、みんなのもとに帰りたいのに。
お店のドアに手をかけて、身を隠すように素早く閉めた。
「あっ。瑠花ちゃん! おかえり~!」
私よりワントーン高い、女の子らしい美月ちゃんの声が飛んでくる。
笑顔を意識して口角を上げてみるけど、そうすると必然的に目が細くなって、このまま泣いてしまいそうだとヒヤッとした。
「彼氏に会いに行ったんだって?」
「初耳! そういう人がいたなんて、教えてくれればよかったのに」
どうやら、国吉くんが伝えてくれていたらしい。
ふと彼のほうに視線を向けると、気まずそうな笑顔が返ってきた。
「だからね。ちょうど今、国吉くんを慰める会をやってたんだー」
場の雰囲気に合わせて明るく振る舞おうとするも、話の方向がつかめない。