今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「ほら、花屋着いたぞ」
目的地に到着すると同時、手は放された。
「あ、案内しくれてありがとうございました」
「ああ」
彼は頷いて、奥にいた店員さんに近づいた。
「あれ、俺が連れてきた客。寮の食堂で世話になった人に贈りたいらしいんで、いいもの見繕ってやって」
……わからない。
きっと、この街の誰よりも暗くて冷たい瞳をしているのに、どうしてこんなことをしてくれるんだろう。
待つこと20分ほど。
渡してくれたのは、渡した代金よりも何倍も豪華な花束だった。
店員さんにお礼を言ってお店を出ると、彼が外で待ってくれていて、また心臓が跳ねた。
「花束できたか?」
「は、はい。本当に綺麗ですね、ここのお花……」
「ああ。この花屋は俺が誘致したからな」
「えっ」
誘致?
つまりこの人が
このお花屋さんをこの街に置いた……ってこと?