今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -

ちっとも冷静じゃない私は、そう言いながら泣きそうになった。


『てことは響平、やっぱ街から出たんだな。……何やってんだよマジで……。けどよかった、予備のスマホ持たせといて』


泉くんは落ち着きを取り戻したようで、大きく息を吐くと、静かに話し始めた。



『クスリ打たれてるんだ、響平。全身が痺れて動けなくなるやつ。休んだら、じきによくなる。よかったら水を飲ませてやって』



知りたいことを的確に伝えてくれる。

どうしてこうなったのか、ではなく、今どんな状態で、何をすべきなのか。



『迎えに行くから、響平の意識がはっきしたら俺に電話するように伝えて。それから』


ふと泉くんの声が途切れたのは、響平がスマホを持つ私の手をつかんだから。

ドキリとした。


「……もういい」

低い声でそう言うと、ぎこちない手つきで自分の耳元にスマホを持っていく。



「泉。あとで掛ける」

その直後、スマホはするりと手を抜けて、地面に落っこちた。
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