今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「だって。俺お前に会いたくて外出てきたんだよ。……少しは優しくしてくれも……いいだろ」
そうこぼした唇が、一瞬だけ落ちてきた。
「やりたい、ってより、触りてえ」
最初にムードのかけらもない誘い方をしてきたくせに、さらりとそういうことを言うのはずるいと思う。
綺麗な顔をしたこの人は、今まで何人の女の子にこんなセリフを吐いてきたんだろう。
冷たい印象を与える隙のない美しさの中に、いったいどうやって甘さを隠しているの。
都合がいいだけの存在にはなりたくないのに、こうも体温が上がってしまえば、あとは引きずりこまれてしまうだけ。
抗う意志を簡単に手放してしまう。
今はふたりしかいないんだから、夢を見させてもらってもいいんじゃないか、と。
「そっちの要望あれば聞くけど」
再び服のすそに手をかけながら、それでも目はしっかりと私を捉えて言った。