今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「にしてもすげぇーわ。初めて打たれたときは意識から根こそぎ持ってかれてただろ。あんとき俺、響平が死ぬんじゃねぇかって本気で思ったんだぜ。毒は数重ねると耐性つくってホントなんだな」
住む世界が違うことはわかっていても、日常の基準がここまで違うと話についていくのは難しい。
「俺は超~マジメだから見つかってもいーけど。お前は前科がありすぎる」
泉くんがわざとらしい長いため息をついた。
その直後に、一瞬だけ、凍りつくような厳しい目を向けた──のは、きっと見間違いなんかじゃなくて。
「もう俺は助けてやれないぜ、元脱走犯くん」
ずっと口元に笑み残していた響平からも、ふと表情が消え。
「わかってる」
低い声と同時に背中を向けた。
「あ、響平……」
このまま振り向いてくれないのかと思い、無意識に引き止めると、案外あっさりと足を止めてくれた。
「あー、そうだ。ちゃんと寝ろよ。疲れただろ」
私に向かい合って、頭にぽんと手を乗せてくる。