今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「ごめんね。ふたりを引き合わせるようなことに、なっちゃって……」
好きな人の意識が自分以外に向けられているのは、とてもつらいこと。
もし国吉くんが美月ちゃんを想っているなら、その気持ちは痛いほどよくわかる。
「……そうじゃないよ、旗中」
「え?」
国吉くんは、声のトーンを落としてうつむいた。
曇ったままの横顔をじっと見つめる。
「俺が怒ってんのは、旗中が古屋に協力してることに関してなんだけど」
冗談じゃないと一瞬でわかる、強めの口調。
「旗中ってあいつのこと好きなんでしょ?」
国吉くんの言う“あいつ”が誰なのか、聞く必要はなかった。
「黙って古屋に譲んの?……俺は旗中のそういう優しいとこが好きだけど、それで悲しい顔してんのは見てられない」