今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「っ、ごめんなさい……」
反射的に閉じた目をうっすらと開けば、目の前に国吉くんの顔があって。
至近距離。
焦点が合ったり、ぼやけたりを繰り返す。
私の体は、国吉くんの下敷き。
すると、部屋の外の方からわずかに物音が聞こえてきた。
「響平たちが戻ってきたのかも……」
事故とはいえ、こんなところを見られるわけにはいかない。
早く離れないと。
そう思って国吉くんを見つめるけれど、どうしてか、この体勢から動こうとしない。
「国吉くん、体、起こさないと……」
そう言っているうちにも、足音は近づいてくる。
ドア越しに聞こえたのは、確かに響平の声だった。
もう、いつ扉が開いてもおかしくない。
ドク、と心臓が音を立てる。
「ねえ、国吉くん……」
シンとした空間に、扉の開く音が響いた。