今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
恐怖のあまり呼吸は乱れ、体も指先まですっかり冷え切ってしまっていた。
「おい、聞いてんのか?」
「…………」
「黙ってねえで何とか言えよ!!」
「っ、ごめんなさい」
少しでも気を抜いたら足元から崩れ落ちてしまいそう。
早く歩けと言われても、力が入らないんだからどうしようもない。
「ほら、こっちが近道だ。来い」
再度腕を引かれ角を曲がると、急にひと気がなくなった。
閑散とした裏路地をビル風が冷たく吹き抜ける。
誰か助けてくれるかもという淡い期待は完全に打ち砕かれた。
大通りを歩いているときでさえ、通行人は誰ひとりとして見向きもしなかったんだから……。