今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
──“あの人”。
名前も知らない人物を想像して、どうしてかゾッと寒気が襲ってきた。
泉くんの表情は暗い。
「成人を迎えたら、外に出れるようになるの?」
「…………」
ひどく悲しい目を向けられた。
「響平だけは、死ぬまで自由になれないかもしれない」
胸がざわっと騒ぐ。
……どういうこと?
立ち尽くす私たちに、正解は与えてもらえなかった。
「ロクでもない男だけどね。響平には幸せになってほしいなあ」
ひとり言のようにつぶやいて、泉くんは背を向ける。
雨と闇の中に吸いこまれるように見えなくなる。