今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
だけど、寮を出てから数分後。
道を歩いていると、突然、両側を大柄な男ふたりに挟まれた。
「あんた、古屋美月か?」
掛けられたのは、そんなセリフ。
とても穏やかな響きじゃない声に胸が騒いだ。
ドラッグストアに出る前の細い路地。ひと気はない。
この人たちが、美月ちゃんの知り合いなわけがない。
「否定しないってことは、そうなんだろ」
「周辺を張ってた甲斐あったな」
下品な笑い声が響く。
ただでさえ熱で弱った体は、抵抗しようにもまったく力が入らない。
逃げ出そうと抵抗してみてもすぐに取り押さえられてしまった。
「これで夕立のやつも痛い目見るだろ」
直後、口元に布のようなのが当てがわれた。
「悪ぃな。ちょっと体貸してくれよ」
苦しくなったのもつかの間、すぐに意識が遠ざかっていく。
目の前が真っ暗になった。