今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
誰かの話し声がする。
近くで聞こえているものなのか、遠くで聞こえているものなのか、ぼんやりとした意識の中では判断がつかなかった。
目を閉じているはずなのに、真っ暗な世界が回って見える。
どこかへ落ちていく感覚がする。
「用意できたか?」
「はい。どうしますか? そろそろ目覚めてもいいはずなんですけど、この女、なかなか起きませんね」
「無理やり叩き起こせ。手荒になっても別に構わねぇよ」
「わかりました」
肩が強く揺さぶられた。
けれど、それは感覚として鈍く伝わるだけで、瞳は固く閉じたまま。意識は靄がかった世界を彷徨い続け。
「おい、起きろ」
さっきよりも強い衝撃を感じると、直後、勢いよく現実に引き戻された。