今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
手放したはずの体温を感じた。
ひどく寒かったはずなのに、心地良い熱に包まれる。
優しく頭を撫でられる………夢。
息を吸いこんでふわっと鼻孔をくすぐるのはずっと会いたかった人の匂い。
──ふと、触れていた体温が離れる気配がしておもむろに手を伸ばした。
触れたのは冷たい、でも嫌いじゃない温度。
ぎゅっとつかむとぎこちなく握り返される。
「……行かないで」
うっすらと目を開く。
光が眩しい。
見えないから、存在を確かめるようにその手を頬に引き寄せた。
ひやり、
この感触は知ってる。
「……響平」
「……うん?」
ドキリとした。
あまりに優しい声が返ってきたから。
──ああ、そっか。
これは、夢だから。
私だけの都合のいい世界だから。