今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
ハハッと笑い声が響く。
「誰か助けにきてくれるとでも?」
そう。この街にはそんな人間は存在しない。
誰かが困っていても倒れていても、初めから視界に入っていないんじゃないかとすら思う。
見えていない、興味がない。
来るんじゃなかった。
こうなることは、少なからず予想できていたことなのに。
怖くて悔しくて鼻の奥がツンとした。涙がこぼれる一歩前の、あの感覚。
──もうだめだ 。
そう思ったとき。
「……わりぃ、待たせた」
前方から聞こえてきたのは
どことなく気だるい、ため息交じりの声だった。
決して大きくはなく、威圧感もなく。
それなのに、周りにいた男が私から一瞬で身を引いた。
「あーごめん。それ、俺の女なの」
もう行ったはずだったのに、どうして?
戻ってきてくれた?
……わざわざ?