今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「旗中瑠花、ね。わかった」
立ち上がると、響平はすぐに書いた文字を足で消してしまった。
自分のも、私のも。
せっかく書いたんだから消さなくてもいいのに、と少し寂しい気持ちになる。
「会合に連れてくから、ちゃんと俺の女ってのを演じろよ」
「会合? に、私も行くの?」
「そうだな。組の人間が集まるところだから多少の危険は伴うが、こんままひとりで帰すほうがもっと危ねえ」
「い、一緒に行ってもいいの?」
「今回は仕方なくだ。けど、顔通しできるいい機会でもあるし、なんかあったら俺が守ってやるからついてこいよ」
「う、うん……!」
歩き始めた響平の後ろを慌ててついていく。
――ここは暗黒街。
夜の店や闇組織が入った商業ビルが多く建ち並び、法的にグレーな取り引きも行われているという街。
響平はその住人で
そんな人と関りを持つのは危ないことだってわかってる、
けど……。
見失ったら今度こそ見捨てられる。なぜか直感的にそう思って
怖さよりも、一緒にいたいという気持ちが僅差で勝ってしまった。